家族信託とは⑥家族信託のメリット
ここまで、少しずつ信託制度のまとめをしてきましたが、この信託(特に家族信託)のメリットは何でしょうか?メリットを知ることによって家族信託の意義を知ることができますね。いかにメリットを列挙します。
成年後見制度の代わりとなる
認知症などの理由で判断力が衰えた方には、成年後見制度を利用することによって財産の管理や処分などをすることが出来ますが、家族信託で受託者を指定することによって、同じ効果を期待することが出来ます。家族信託も成年後見制度も、委任者(成年被後見人)が受任者(成年後見人)財産を託すということになります。
財産管理を簡易に行える
家族信託制度は成年後見制度の代わりとなるだけでなく、その使い勝手はとてもよく、とても簡易に利用することが出来ます。本来成年後見制度と言えば、①家庭裁判所の許可が必要で、②後見人になる人には様々な制約があり、③条件によっては後見監督人を選ぶ時もある、などの制約が課せられますが、家族信託制度ならその必要はありません。負担感はかなり減るのではないかと思います。
次の次の(そのまた次の次の・・・・)資産の承継先を指定することが出来る
民法では遺言で承継先を決めておくことが出来ます。ただし、相続人全員で遺産分割協議をやり直すことによって遺言の効果をひっくり返すことが出来ます。また、遺言は承継先の「次」を決めることはできますが、「次の次」を決めることはできません。しかし、家族信託では決めることが出来るのです。
共有不動産の問題を回避出来る
共有不動産を処分する場合、共有者全員の意見が一致している必要があります。子どもの代ならまだしも、孫、ひ孫の代になってくると沢山の共有者が出てきます。もちろん、そのあとになると数十人の共有者の同意が必要になります。これら共有者思惑を一致するのは時間がたてばたつほど厳しくなるでしょう。そんな時でも家族信託なら、例えば「おじいちゃんが子どもに財産を預けて孫のために活用する」ための契約も可能でしょう。
受益者のニーズに合わせた承継
委託者が親、受益者が子どもの場合、その財産の給付がもっともっと欲しいと子どもが思ったとしても、親は先々を心配して少額ずつの給付にできます。一気に財産を食いつぶして(よく聞く話ですね)、子どもが将来困ることの無いように、その子のことを考えた財産給付を実装することが出来ます。
生前の財産分割と将来の「争族」回避
生前に推定相続人があらかじめ合意しても、それは遺言としては無効です。(相続は死後、発生するため)ですので、生前は遺言書を作成することで、自分の死後の希望を伝えることが出来るのですが、遺言も書き直すことによって変更することが出来るので、確定とは言えません。しかし、家族信託を活用することにより、「実質的遺産分割協議の確定」をすることが出来ます。
- 死後の資産承継について信託契約を結ぶ
- この信託契約の変更に制限(内容変更の禁止・撤回の禁止など)を加える
この内容によって、争族を回避することが出来ます。
家族信託はうまく活用することによって有効な次世代承継のツールになりえます。もちろん、遺言書も有効です。どちらを使うかはそれぞれ一長一短がありますので、よく検討することが必要です。次回は信託のデメリットをまとめたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
