民法:親族法⑯嫡出否認の訴えの出訴期間

こんにちは。行政書士の小幡です。今日は前回の続き、つまり、嫡出否認の訴えの出訴期間について記された民法第777条についてまとめます。777なんてキリのいい数字ですね。まあ、それはさておき、いつものように条文から。

(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第七百七十七条 次の各号に掲げる否認権の行使に係る嫡出否認の訴えは、それぞれ当該各号に定める時から三年以内に提起しなければならない。
一 父の否認権 父が子の出生を知った時
二 子の否認権 その出生の時
三 母の否認権 子の出生の時
四 前夫の否認権 前夫が子の出生を知った時

簡単に言えば、1年⇒3年が大きな改正点です。「本人」「母」にも嫡出否認を認めるとともに、その期間を3年としました。また、男性は子の出生をリアルタイムに知ることができる保証はないので、あくまでも起算点は「知った」時です。

そもそもなぜ、出訴期間があるのかというと、その理由は、「子の身分の法的安定」を守るためです。長期間が経過した後に父子関係が覆ると、子の養育環境や相続権が不安定になり、子の利益を損なう恐れがあるからです。この期間を過ぎると、たとえ血縁関係がないことがDNA鑑定で証明されても、原則として法律上の父子関係を否定できなくなります。

事実よりも法律が優先されてしまうわけです。相続としてはこれは大きな問題です。知っておいた方が良いですね。

また、この条文を相続と絡めてまとめてみましょう。相続において、民法777条の問題は「本来相続人ではない者に遺産が渡る」あるいは「遺産分割協議がやり直しになる」といったリスクに直結します。

① 遺産分割への影響

嫡出否認の訴えが認められると、その子は遡って「相続人ではない」ことになります。しかし、訴えを起こさずに父が亡くなった場合、血縁がなくてもその子は「法定相続人」として遺産を受け取る権利を持ち続けます。

② 相続回復請求権の問題

もし、他の相続人が「あの子は本当の子供ではない」と主張して排除しようとしても、父が生前に嫡出否認をしていなければ、第三者が後から父子関係を争うことは非常に困難です(※改正法により子や母からの提訴は可能になりましたが、親族からの提訴には厳しい制限があります)。

私の嫡出子です。(2人)

また、血縁がないことを理由に関係を断ちたい場合でも、期間を過ぎると「離縁」という概念がない実子関係(嫡出子)は解消できません。相続対策として生前に対処するか、遺言書で配分を調整するなどの検討が必要になります。(とはいえ、配分をゼロにすることは不可能ですが。)

しばらく、嫡出についての記事が続きますが、お付き合いください。相続を考える上で知っておいた方が良い条文ですね。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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