民法:親族法⑬嫡出の推定

こんにちは。行政書士の小幡です。

今日は民法772条をまとめましょう。民法772条(嫡出推定)は、2024年4月1日の改正法施行により、126年ぶりに大きな見直しが行われました。ここでは「離婚・再婚・出産」に関わる重要なルールを解説します。「300日問題」が本日のキーワードです。

「離婚後すぐに子供が生まれたら、元夫の子になる・・・?」そんな不安の根拠となっていた民法772条(嫡出推定)が、2024年(令和6年)4月から新制度に移行しました。家族の形が多様化する現代、知っておくべき知識を整理しましょう。いや、知っておいて損はないですよ。

民法772条は、子供の父親が誰であるかを法律上早期に確定させ、子供の権利を守るための規定です。 では、条文から、、、

(嫡出の推定)
第七百七十二条 妻が婚姻中に懐胎した子は、当該婚姻における夫の子と推定する。女が婚姻前に懐胎した子であって、婚姻が成立した後に生まれたものも、同様とする。
2 前項の場合において、婚姻の成立の日から二百日以内に生まれた子は、婚姻前に懐胎したものと推定し、婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
3 第一項の場合において、女が子を懐胎した時から子の出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する。
4 前三項の規定により父が定められた子について、第七百七十四条の規定によりその父の嫡出であることが否認された場合における前項の規定の適用については、同項中「直近の婚姻」とあるのは、「直近の婚姻(第七百七十四条の規定により子がその嫡出であることが否認された夫との間の婚姻を除く。)」とする。
(父を定めることを目的とする訴え)
第七百七十三条 第七百三十二条の規定に違反して婚姻をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。

なぜ改正されたのか?改正前後の内容をを簡単にまとめてみました。

改正前改正後(2024.4~)
○婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
○婚姻から200日経過後、または離婚から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものとみなす。
○婚姻中にい懐胎した子は、夫の子と推定する。
「女が再婚した後に生まれた子」は、再婚後の夫の子と推定する。(※離婚後300日以内であっても、再婚していれば現在の夫の子になる)

これまでは、離婚後300日以内に生まれた子は、実父が別の人であっても「元夫の子」として戸籍に入れなければなりませんでした(300日問題)。これを避けるために無戸籍者となる子供が続出したことが、法改正の背景にあります。 

ここで、大きな疑問点が生じます。民法772条を巡っては、過去に「血縁がないことが明らかな場合でも推定が及ぶのか」が争われてきました。 以下に判例をまとめておっきます。

最高裁決定(平成26年7月17日)

  • 事案: DNA鑑定で夫と子の間に血縁がないことが判明しているケース。
  • 結論: 「DNA鑑定で父子関係が否定されても、嫡出推定は及ぶ」と判断されました。
  • 解説: 法律上の父子関係を安定させるため、たとえ血縁がなくても、民法が定める「嫡出否認の訴え」などの手続きを期限内に行わない限り、法律上の父子関係は覆せないという厳しい判断が示されました。 

この判例からも分かる通り、民法772条は非常に強力な規定です。だからこそ、手続きのルールを知っておく必要があります。 

たとえ事実とは異なっているとしても最高裁判例では法律上の父子関係は覆せないため、「離婚・再婚」のタイミングで子どもが生まれた場合、以下の手段を執る必要があります。

  1. 嫡出否認の訴え:
    改正により、これまでは夫のみに認められていた否認権が、子および母にも認められるようになりました。また、提訴期間も「知った時から1年」から「3年」に延長されています。
  2. 再婚の活用:
    新制度では、離婚後300日以内であっても、再婚後に生まれた子は「現在の夫」の子として出生届を出せます。 

民法772条の改正は、子どもの法的地位をより現実に即した形で守るためのものです。しかし、個別のケース(前夫との連絡が取れない、認知の問題など)では、専門的な法的知識が必要になります。詳細な手続きについては、法務省:民法(親子法制)部会資料を確認するか、弁護士や法テラスへ相談する方が良いかもしれませんね。

773条の条文は772条で父を定めることができない場合は、裁判所が定める旨の規定があります。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

Follow me!